由良川源流・紅葉の芦生散策 ふじもと様投稿紅葉の芦生行の写真)

 昨年秋に舞鶴市のふじもと様から由良川源流の芦生の紅葉散策を誘っていただいた。しかし家内が風呂場で足を滑らせて肋骨4本の骨折事故をおこし断念した。一年経った今年もまたお誘いのメ−ルをいただいたので、所用の一段落する11月23日休日にお願いすることとした。
早速、芦生京大演習林地図とコ−スガイドを送っていただいた。
「添付の地図は芦生の地図です(部分)。今までは右上方面の朽木から林道を使って地蔵峠近くまで車で入り、由良川の源流帯には案外簡単に入れたのですが、この夏より禁止になったそうです。
そこで、朽木からは赤の矢印のように三国峠コースを使って枕谷を下り、神社マークから源流帯に入ることは可能なようです。この場合神社まで片道約1時間半あまりかかります。
 次に、上の方に2箇所青矢印をつけていますがこれは名田庄から廃村奥の林道を利用して出来るだけ奥に入り峠に上がるものですが、この場合源流最奥に一番近い杉尾坂へ上ることになりますが、こちらも1時間半あまりの急登になります。ただし帰りは下りばかりで楽です」

家内は歩くには支障がないが膝を痛めており、畳に正座出来ないようなのと、私も多用で運動不足もあり、栃木からの平地?コ−スを希望した。ところが日曜日毎に悪天候が続き、京都北部テニス・ト−ナメント大会も消化が出来ず、やっと好天が期待されると思ったが、すぐに不連続線の南下で天気が崩れるという天気予報となった。
雨天でも傘を差して長靴で歩けると云うので酷い悪天候でない限り行くことに決まった。コ−スも車を芦生京大演習林の駐車場に置き入林届けを出して林道を散策し沢渡りをすると云うことで長靴持参と決まった     
         
芦生京大演習林地図とコ−スガイド  芦生山の家駐車場   京都大学芦生研究林の看板で一般車両は入林禁止   仮入林届けを書く
警告:1人での入林は許可しません。最近、林内で遭難死亡事故がよく発生し、ほとんどが単独入林です。事故などが生じた場合、連絡が困難になり救助が出来ません。1人で入林はしないで下さい。芦生研究林  仮入林届け書き込み中  
    天候の悪化が予報される中で出発時間を8時に設定する。秋は日が短いので早く行動開始するに限るが、問題は不連続線の通過時間だ。午前から午後にかけどんな天気回りになるか心配しながら朝を迎えた。未明に一雨降ったようで濡れているが曇天だった。天気速報も降水確率20%に変わっていた。
8時にふじもと様が来られ出発する。紅葉の見事な和知町「大野ダム」周辺を通り、小浜から京都へ向かう周山街道・美山ル−トに入る。朝早いので無人に近い「かやぶきの里」を通る(帰りには観光客で混雑していた)。見事な紅葉を愛でながら「芦生山の家」駐車場に到着。長靴に履き替える。家内はポリ袋にいれて手に持った
  紅葉の山々をぬって流れる清流が美しい
   
由良川の源流地帯といっても、ここは芦生の入り口なので水量が多い 家内のデジカメ(ミノルタ)が電池切れになり、私のSony Sybershot を貸す。Canon一眼レフに切り替えた   全山が紅葉の真っ盛り   芦生の紅葉の間を流れ下る由良川   紅葉する落葉樹と緑濃い植林が織りなす対比、流れる水面が光る  
   
 さざ波をたてる川面 林道の通る岩肌は、細い千枚岩を思い思いの方向に重ねて造型している   暗い木立の間に滝が見える   芦生の美しい樹林を流れる由良川の源流、真っ直ぐに立つ幹を写して真っ直ぐに流れる    紅葉を映して流れる
 苔むす岩肌を舐めるように深く沈殿して流れる  小滝が岩肌を噛んでかかる  折れ曲がり砂州をつくり流れる  木立の中に「しいたけ」栽培のほだ木が並べられている。各所に見られ、高圧電流を流すワイヤ−、バッテリ−、ネットが設置されている 栽培樹林の間から紅葉と山並みを見る  
流れるままに川の表情が豊かだ    橋を渡ると、櫃倉(ひつくら)線:2.1Kmと内杉線(中山8.5Kmの分岐標識 林道:ヒツクラ線
当該林道は、条例に基づき美山町が管理しており、林業の目的に反する使用は固く禁じます  
 曇天から太陽が顔を見せる。ぽかぽかと暖かい。先日来の悪天候という天気予報に惑わされた気持ちだ(この後曇天に戻り、気温も下がってきた、前線の通過と思われる)
日光が水底まで透過して、澄んでいる流れが綺麗だ
紅葉の山も太陽を歓迎している。紅葉の中に点在する緑が引き立つ。あの稜線に上がっていきたいなと思う  
女1人稜線に向かって、緋色に敷き染まる山道を行く。なんちゃって?
写真をクリック拡大すると右下に人物が見えます  
全山燃えるようだ   巨木が谷岸に横たわっている・・・と思わせるような丸太状の岩石。薄い板状の岩肌が走っている   全山紅葉のなかに常緑樹が点在して、起伏する山肌を強調してくれる    植林帯と対面して紅葉林が広がる。清流が境をわける
         
清流に覆い被さるようなもみ    道ばたの枯れススキが興をそえ、秋の深まりを感じさせる 振り返ると今来た道は、まさに秋まっさかり   青緑色の深いよどみから直角に折れ曲がり、散在する川石の間を白波を立てて流れる   鹿に樹皮を食べられる被害よけのテ−プが巻かれている育成樹林が各所で見られる  
         
 鹿の食害にあった樹皮。痩せて枯れ木状態だ 櫃倉林道を奥に詰めていく   谷川を取り巻く景観も様々に変わる      
 谷にそって紅葉に彩られた林道がつづく。立木にツキノワグマの注意書きが付けられていた。
ツキノワグマ調査中
この林にツキノワグマ調査用の有刺鉄線枠(ヘ?ラップ)を設置しています。有刺鉄線が約50cmほどの高さで張られているのでご注意下さい。またこの地域は、ツキノワグマが生息する地域です。入山にはご注意ください。京都府農林部森林保全課    
先月末に同窓会で輪唱した「もみじ」の歌を思い出す紅葉
@秋の夕日に照る山紅葉
 濃いも薄いも散ある中に
 松をいろどる楓や蔦は
 山のふもとの裾模様
   
A渓の流れに散り浮く紅葉
 波にゆられて離れて寄って
 赤や黄色の色様々に
 水の上にも織る錦
櫃倉林道の紅葉も真っ盛りだが、早くも葉が落ちてしまった樹も混じる。高いところから紅葉が舞い舞いしながら降りてくる。滞空時間を計ると面白そうだ。
       
側面から小さな滝が合流している   谷の合流地点、砂州が広がっている   錦織りなす見事な紅葉が山を染める  様々な色合いが混じって幻想的な光景だ  ここで林道(櫃倉線)も行き止まり終点、ちょっとした広場になっている。さらに直進する落ち葉の積もる細い山道に入る  
         
少し行くと細道もなくなり谷川の岸辺に出た。ここで小休憩をとり間食のパン、チ−ズを食べ、お茶を飲む   川幅も広く、先日来降った雨で水量が多い、勢いよく流れている 家内は持参した長靴に履き替えふじもと様の先導で川を渉り始めた。流れもかなり速く水深もある。持参の長靴では短く、やっとの渡河になった。ふじもと様は要領よく膝まであり、紐で縛るカバ−付きの長靴を履いていられる。しまった!軽く考え気にもしていなかったが、もっと長い長靴を持ってくるのだったと反省する   川を渉ると流石で覆われた河原を歩く   何回も谷の両岸の間を渉る。水中の石は磨いたようになり乗ると滑るので、水深の浅いところを選びながら砂地の部分を歩く  
靴をふじもと様に持っていただいて、水深の浅いところを選びながら慎重に渡渉する。
長靴を川の流れに真っ直ぐ立てて渉る。横向きにすると水流が長靴に当たり盛り上がるので水が入る。私は深いところを避けるため足幅を広げすぎ、慌てて片足を引きよせてしまい水を寄せて長靴に水が入ってしまう。「ドジ!、冷たい!」しかし大したことはなく歩く内に乾いてしまった 谷は川筋をS字型にうねるように流れるので交互に深いよどみがあり、川岸を詰めて遡上すると急峻な崖で行く手を阻まれる。そこで対岸に渡河する訳ではあるが、時には急峻な崖をへつるように巻いて渡りきる必要な場所がある。かなり崖の上部までせり上がり巻いた方が安全ではあるが、また立木や岩につかまり足場を確保しながら、川辺をへつり渡りをする場合もある。家内はふじもと様に靴の袋を持っていただき渡りきった。私もカメラを首から提げて両手を自由にして渡り始めたが、どうもカメラが揺れ邪魔だ。下がった木の枝やツタをくぐり抜け、かわす必要もある。見かねたふじもと様がカメラを首から抜き取り持っていただいた。その後はカメラを腰に巻いたポ−チ・バックにしまい行動した。
ふじもと様は凄く身軽で全く崖にしがみつきもせず、ひょいひょいと渡ってしまわれる。不思議な人だ。
考えてみればスキ−場でスキ−を付けていれば、この位の傾斜は楽に横切れるのだが・・・足場が悪すぎる。上林谷の上流、鳩ケ峰などの沢登りでもこのように崖をへつり渡ることが屡々だが、やはり芦生の由良川源流地帯はスケ−ルが違う。もっと上流なら沢登りも楽だと思いながら歩いた
    
         
谷川の流れ    長靴の上にいくらも残っていない水深を慎重に浅いところを拾いながら渉る  ここは深そうだ  渉れるところを見ている  「←中ノツボ」の標識がある合流点で記念撮影
         
「櫃倉谷」と「中ノツボ」から来た谷は、ここでは合流せずに二筋になって流れている。
先ほど、女性の方が上流の方に行かれるのが見えたので、山歩きコ−スになっているようだ。川筋に沿ってこの平坦地は拡がっているが幅も広い  
風もないのでここで昼食をとる。食後地図を広げて現在値の再確認をされた   また1人男の方が白い傘を持ち長靴を履いて歩いてこられた    櫃倉谷と中ノツボから来た谷の間の山から下ってくる山道が見える ふじもと様がコ−ス確認に身軽に山を上がって行かれた。すぐ下りてこられ櫃倉谷沿いの山道であり、沢下りして戻らなくても帰れるとのこと  
         
櫃倉谷林道まで出るために山道を登る    尾根に出ると「イワカガミ」の群生が見られた  さっき澤渡りして来た「櫃倉谷」を見下ろしながら尾根道を歩く 山道から見下ろす紅葉と櫃倉谷の流れが美しい   山道の樹林の間から紅葉した山を見る  
         
昼食をとった「←中ノ坪」から山越えしてきたが、林道:櫃倉線の終点広場は対岸になる。川幅も広く水深も深い、あちこち渉れそうなところを探して場所を決定。短い長靴の中を濡らさずに渉りきった    渡渉した地点から撮った櫃倉谷の上流 同じく渡渉地点から撮った櫃倉谷の下流   澄んだ水面に紅葉が被さりきれい   帰路を行く  
       
午前中とは光線の向きが変わったので、帰り道でも紅葉の山々の写真を撮りながら歩く   急角度の円錐状の緑と急勾配に上がる紅葉の様子が面白い    紅葉のグラジェ−ション 赤い紅葉が散らずに残っていた   谷川にかかる紅葉が霞のようだ  
     
芦生紅葉散策の帰り道で各所で見かけた岩肌を、ブログの背景画像に使うために写真に撮った  一メ−トル四方もあれば、縦横斜めの三次元空間のあらゆる方向に重なる、板状の岩石が見られる。海底で数十億年もかけて水平に堆積されたものだと思える。どんな造山運動が、この様に奔放な方向に岩石を隆起させたのかと思った   横向きに並んだ板状の岩石。大部分は細く揃った板厚が重なっているが、中には幅広いところもある   縦横斜めに自在に薄めの板岩が積み重なっている   板状の岩石  
         
ブログの背景画像にするために帰路、紅葉の写真を撮る。色彩の変化が面白い  黄色い紅葉も鮮やか もみじ 林道の道ぎわに沢山ある低い灌木の紅葉   芦生山の家駐車場の上にある神社の紅葉  
 研究林利用の皆様へ
京都大学芦生研究林は学術研究のために設置されています。この中では大切な試験や研究が行われていますので、研究林を利用される皆様は、次のことを守って貴重な森林の管理にご協力下さい。
 
京都大学芦生研究林の校舎  
1.入林希望者は必ず研究林事務所で入林手続きをして下さい。但し時間外及び休日については、仮入林受付所で入林手続きを行って下さい。なお、ペットを連れての入林は禁止します。
2.歩道・林道以外は立ち入らないで下さい。
3.関係者以外車両(自動車・バイク・自転車)による入林を禁止します。
4.動植物や土石を許可なく採取しないで下さい。
5.林内でたき火をしないで下さい。またタバコの火等火元には充分注意して下さい。
6.ゴミ・空き缶等は必ず持ち帰って下さい。
7.その他、入林者カ−ドに記載してある注意事項を守って下さい。京都大学芦生研究林    
   
京大芦生研究林の地図をみる   今日歩いたコ−ス、駐車場→林道:櫃倉線分岐→林道終点→川渉り→「←中ノツボ標識」→山越え→櫃倉線終点広場    櫃倉谷の林道終点から、U字型に青い色の谷沢を歩き、赤い点線の山道を戻った。
林道:櫃倉線終点→櫃倉谷川渉り→「←中ノツボ標識」→山越え→櫃倉線終点広場
 帰ってから地図の上に今日の散策したコ−スの軌跡を記入した ふじもと様からメ−ル添付で送っていただいた写真。昼食をとった「←中ノツボ」付近 
ふじもと様投稿写真    紅葉の芦生行の写真をいただきましたトロッコ道を1時間半、ヤブ尾根を1時間半でなんとか頂上とのことです。  
         
薄霧紅葉由良川源流の山   本流山を映す   天狗頂上直下ブナ   清流紅流   下山カズラ谷出合